今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」92話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 92話 あらすじ
前話ネタバレはこちら
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正式な妻として若水家に迎えられたチヌは、公三郎が生まれ育った環境と自分のそれとの違いを改めて実感してしまいます。
しかし、戸惑うチヌに対して公三郎は真摯に自身の想いを伝え、彼らは晴れて夫婦としての初めての夜を過ごしました。
そうして幸せな気持ちで朝を迎えた2人でしたが、間もなく大多和が訪ねて来て、公三郎の両親が彼とチヌとの結婚を認めていないことなどを指摘してきます。
公三郎はそんな大多和にも毅然とした態度で対応しますが、やがて驚くべきことを告げられてしまうのでした。
声なきものの唄 92話 ネタバレ
公三郎の自宅である若水邸へ初めて足を踏み入れたチヌは、東陽楼ですら比較にならないその豪華さと、使用人らが全員とてもにこやかに出迎えてくれたことに、驚きを隠せずにいました。
さらにお清から専属の小間遣いまで紹介され、思わず「お清さんっ、うちに小間遣いやなんて・・・」と言いかけたところ、「若奥様。あなたは若水家の方、私どもは使用人。身分の筋は通しませんと」と諌められてしまいます。
その上「若水家にもようやく“女主人”が収まってくださって、一家の体を成しましたわ・・・・・・!」と嬉しそうに続けられ、
(うちゃあげん島の掘っ立て小屋みてえなトコで生まれたってえのに・・・・・・なんや・・・とっても・・・場違いや・・・・・・!)
とひどくいたたまれない気持ちになってしまいました。
公三郎の前でつい「うちなんぞがこげん立派なお宅に入ってええんか・・・」などと呟いてしまったのも、そのためです。そんなチヌを公三郎は、「「なんか」といういい方は、やめてほしい。過度の謙虚さは失礼になるよ。それはその人を愛する者をーーー僕を悲しませる言葉だ」と優しく諭しました。
そうして彼らはその晩、甘い「新婚初夜」を過ごしたのでした。
翌朝、満ち足りた気分で目を覚ましたチヌと公三郎は、「ご主人様が厨房へお入りになるなんて・・・っ」とざわつく使用人らを下がらせて、2人仲良く並んで朝ごはん作りに挑戦しました。メニューはブレッドというイギリス式のパンに焼いたベエコンと卵、それから赤茄子(トマト)です。
チヌは初めて食べる味に無邪気にはしゃぎ、そんな彼女の様子を隣で見守る公三郎もリラックスした笑みを浮かべていて、実に幸せそうな光景です。
しかし、若水家の大番頭である大多和が急にやって来たことで、穏やかなその一時は終わりを告げました。
大多和はチヌをジロッと睨みつけながら「わしゃ3代目に用があって参ったので」と言って彼女を追い払います。
それから公三郎に向かって、彼の両親がこの結婚を認めていないことを指摘した後、「知っとられますか?女郎だった女は孕みづれえんやそうですよ」などと言い放ちました。
当然ながら公三郎は怒り、「僕の妻を侮辱したいのなら早々に立ち去ってもらおう」と大多和を追い返そうとします。
すると彼は「侮辱・・・?ハハッ、ほんまのことですがな」と冷笑し、それからごく軽い調子で、「近えうちに、ご両親がこちらへ戻られるそうです」と告げてきたのでした。
声なきものの唄 92話 感想・考察
92話の見どころは、まさに新婚夫婦!といった様子のチヌと公三郎のやり取りです。
もう客と女郎という刹那的な関係ではなくなったことへの喜びをお互いに噛みしめるシーンは感動的ですし、2人で厨房に立ち、その後仲良く朝食を楽しむシーンは非常に微笑ましいです。
また、チヌが疑問に感じた、使用人たちが皆彼女を歓迎してくれた理由が、後半の大多和との会話の中で明かされるのですが、公三郎がいかにチヌを大切に想い、彼女の難しい立場をきちんと理解しているかが良く分かるので、ぜひ読んでみて欲しいと思います。
次回ネタバレはこちら
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