今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」91話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 91話 あらすじ
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チヌと公三郎の結婚式が、ようやく執り行われる運びとなりました。
いつもの通りチヌは和装、公三郎は洋装で、それぞれ美しく着飾っています。内々で慎ましく済ませる予定で、場所は藤富の本宅、媒酌人は明子とその夫である徳次です。
しかし、滞りなく式が終了し、役所へ婚姻届けを出しに行ったところ、若水家当主の結婚相手であるチヌの正体をめぐって、所内や町中は大騒ぎとなってしまいました。
そんな周囲の雑音をよそに、とうとう公三郎と正式な夫婦になったチヌは、その幸せを噛み締めていました。が、同時に、新たな生活に対する不安も感じていたのでした。
声なきものの唄 91話 ネタバレ
長月(9月)の大安吉日、チヌはとうとう公三郎との婚礼の日を迎えました。媒酌人を務めるのは、明子と徳次の夫婦です。
美しくも楚々とした雰囲気を漂わせる振袖姿のチヌに対し、公三郎はフロックコートでいつも以上に華やかに装っていました。チヌは思わず心の中で(こげんお方の”妻”になれるやなんて)と独りごち、公三郎はそんなチヌを「きれいだね」と褒め称えます。
明子もまた花嫁衣装を纏ったチヌに対し、「あんたまぁきれぇになって・・・!」と賞賛の言葉を送りました。そうして、幸せそうな微笑みを浮かべて公三郎と見つめ合う姿を感慨深げに眺めやりながら、「おカアさん、ええもんですね・・・。苦界に身を沈めた女が好いたお方とまっとうな夫婦になれるなんざ・・・、奇跡ですわ」と呟きます。
すると、東陽楼のおカアさんはしみじみとした調子で、「フン、ロクでもねえ顛末の女郎ばかりやねぇ・・・たまにゃこげんして「天のごほうび」んような縁があってもよかろうよ」と返したのでした。
つい先頃、重陽の節句(9月9日)の日に後藤田が女中のチカと挙げたたいそう豪勢であったらしい式とは違い、チヌと公三郎の結婚式は藤富の本宅で行われ、招待客もいない、非常に小ぢんまりとしたものでした。
しかし、婚姻届けを提出するべく明子たち夫婦と共に群役所を訪れると、「若水家のご当主」が結婚する相手ということで、チヌを見た役所の者たちが「いってえどこんご令嬢や・・・!?」とにわかに騒ぎ出しました。
さらに公三郎は、家紋入りの新しいふたり乗り人力車に乗り込むと、「あまり早くしないでいいから目抜き通りをゆっくりいってくれ」と車夫に向かって指示したため、チヌは無関係の通行人たちからも「隣ん女は何者やっ」と注目されることとなったのです。
しかしその時、当の本人は、名実共に夫となった公三郎から「夫婦になってもまだ「若様」かな?チヌ、君も「若水チヌ」になったのだから、「若様」では妙だろう」と楽しげに迫られてオロオロしていたため、人々の視線どころではなかったのでした。
やがて、新婚の2人を乗せた人力車は、瀟洒な洋風建築である若水邸へと到着しました。
矢津遊郭へと売られてきた時のように、再び「新しい世界」へ足を踏み入れることに対し、チヌは少しだけ恐怖を感じていました。
そんなチヌの心の内を見透かしているのか、公三郎は「さあ チヌ、我が家へようこそ」と言いながら、彼女に向かって手を差し伸べるのでした。
声なきものの唄 91話 感想・考察
91話の見どころは、とても幸せそうなチヌの花嫁姿です。
後藤田と結婚したチカは綿帽子をかぶった白無垢姿ですが、チヌの婚礼衣装はお引きずりではない黒の振袖に角隠しというスタイルで、可憐でありながらしっとりと落ち着いた、ほんのり色気すらただよう美しい花嫁さんとなっています。
フロックコートを着用している公三郎と並ぶと意外なほどにお似合いで、2人が三々九度の盃を交わすシーンなどは胸がいっぱいになること間違いなしですので、ぜひご覧下さい。
次回ネタバレはこちら
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