今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」82話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 82話 あらすじ
前話ネタバレはこちら
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声なきものの唄 82話 ネタバレ
2人は現在母親の実家である中里家の離れで生活しており、本宅には伯父とその妻、それから彼らの長男夫婦が住んでいます。
父親が作った借金を返済するため明子が女郎となったのは他でもないこの伯父・中
里がそうすべきだと主張したからだったのですが、彼は年季を勤め上げてようやく帰郷した姪に向かって「廓上がりの女がおるんは外聞がわりィ」と言ってあまり出歩かぬよう釘を刺し、さらにはその夫である徳次を「牧場の下働き」だった過去を理由にあからさまに見下し、差別してきました。
・・・!!
また、中里の妻・良江も「息子に色目でん使われてたぶらかされここに居座られたらどないします!?」などと本人を目の前にして言い放つ有り様で、そのうえ母と妹宛てに送っていたお金が伯父の懐に入っていたことまで判明しますが、明子は2人の立場が悪くなることを恐れてグッと悔しさを飲み込みます。
コノヤロウッ…!!!
しかし、明子が元「一流の見世のお職」だったという話を聞いた町長が彼女をひと目見たいと言い出したらしく、町役場の面々が集まる宴席に顔を出すよう中里から命じられた際は、さすがに筋が通らないと毅然とした態度で断りました。
すると中里が激高して暴力を振るってきたため、さしもの明子も仕方なく伯父の言に従うことにします。
それでも「こっそり手合わせ願えんじゃろか?」と迫ってきた町長を受け入れることはせずその場を辞した明子に対して、中里は「わしんカオつぶしよって・・・・・・!」と再び怒りをあらわにし、「勿体つけるほどの体か!」などと彼女を口汚く罵りました。
しかも、それで腹の虫がおさまらなかった中里は、しつけ直しと称して明子が1人で寝ている女中部屋へと押し入ったのです。
新妻の危機に駆けつけた徳次が大暴れしたおかげで事無きを得ましたが、女中部屋にはなんと従妹の寝込みを襲いに来た長男・徹男の姿もありました。
仕送りの件も含め、この10年、母と妹がどれだけ伯父たちからぞんざいに扱われていたかを今回の滞在で知った明子は、この騒ぎを好機として、2人を連れて矢津へ戻ることを決めます。
人生の門出を祝う記念すべき新婚旅行のはずが、中里らから繰り返し心無い言葉を浴びせられた明子は、(見世におる間はあれほど焦がれた「廓の外」は、いざ出てみりゃあうちらに冷てえ)とひそかに気落ちしていました。
しかし、「おかげですっきり伯父様宅から出られたわ!」と朗らかに言う妹や、いつでも傍にいて守ってくれる徳次の存在に支えられ、「終わりよければすべてよし」と笑顔で故郷を後にしたのでした。
声なきものの唄 82話 感想・考察
82話の主役は、元「巴太夫」である明子です。
残念ながら新婚ほやほやの幸せなエピソードではなく、晴れて年季明けを迎え、自由の身となったはずの元女郎を取り巻くシビアな現実にスポットを当てたものとなっています。
ただし、伯父の中里も従兄の徹男もとことんイヤな感じの人物として描かれているため、夜中に明子のもとを訪れた2人が激怒した徳次によって返り討ちにされるシーンは非常にスカッとします。
また、それまで下男と馬鹿にされ蔑ろにされても気にせず微笑んでいた徳次が、明子のピンチには鬼神のごとき形相となる様からは、彼の深い愛情が感じられます。
次回ネタバレはこちら
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