今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」81話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 81話 あらすじ
前話ネタバレはこちら
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声なきものの唄 81話 ネタバレ
後藤田たちが知恵と力を貸してくれたおかげで、無事かつてのような人気を取り戻したチヌの姿を見たおトウさんが口にした「こんひと月が終えたら、千鳥は元の二枚目に戻そう思う」という言葉を聞いて、巴はあることを決意します。
それは「年季明けを早める」というもので、自分の後釜としてチヌをお職の地位に据えたいと考えての決断でした。
チヌをお職の地位に!
でも巴は・・
そもそも巴の年季は半年も前にすでに明けており、現在は「お礼奉公の期間」であったため、引退したいという彼女の申し出はあっさりと承諾されました。
ただし「「自前」の千鳥をお職に据えるんは見世としては少々按配がわりぃ」というおトウさんの意見により、染花をお職に上げてチヌは二枚目に復帰する・・・ということで話はまとまります。
元々の予定よりひと月も早く巴が見世を辞めることになったと聞いた東陽楼の妓たちは、誰もが心から彼女との別れを惜しみました。
当然チヌもその1人で、「巴姐さんのおられん東陽楼なんぞ考えられん。まだ なんの恩返しもしとらんのに・・・・・・!」と言いながら思わず涙をこぼしてしまいます。
すると、そんなチヌの様子を見かねた後藤田が「「恩返し」なら、いっそここで婚礼したらどないや?」と言い出しました。
え!!!!!!!!!!
東陽楼の面々はその妙案に賛同し、巴に内緒で祝言の準備を始めます。
というのも、巴は「女郎上がりの嫁御寮なんぞ、ひっそり嫁ぐんが筋ってもんですわ」と言って、三三九度のみの簡素な式を挙げるつもりでいたからです。
やがて「巴太夫」最後の日がやって来ました。
おトウさんから「巴・・・おんしは、まちがいのう明治の御世以来東陽楼最上等のお職やったで。あっぱれやった」と声をかけられ、さしもの巴も感涙に咽いでいると、「巴姐さん!婚礼でっせ!!」と言いながらチヌが現れ、あれよあれよという間に美しい白無垢姿へと仕立て上げられてしまいます。
おおおおおおおおおおお〜〜!!
何も聞かされていなかった巴は驚きのあまり「聞いたことねェわ女郎屋で婚礼なぞっ」とついつい声を荒げますが、「「東陽楼」が姐さんにお礼してえんですわ」というチヌの言葉や、おなじみさんだった客たちから届けられたご祝儀の数々に感謝の気持ちを噛みしめました。
なにより巴を喜ばせたのは、お祝いに駆けつけた大来から「今からでんわしに乗りかえんか?巴」と迫られた際、未だに「お嬢さん」と彼女のことを呼んでいた徳次がキッパリと「あいにくと、もうこん人はわしん女房「山本明子」になりもうした」と宣言したことです。
わああああああああ(泣 パチパチパチパチパチパチ…!!
声なきものの唄 81話 感想・考察
81話の見どころは、人の良さが災いしてか常に自信なさげな雰囲気で、伴侶となる巴に対しても一歩引いているような印象が拭えなかった徳次が、大事な局面でビシッと決めてくれるシーンです。
これまでも彼は、決してただ優しいだけの愚鈍なお人好しなどではなく、芯が強く情の深い人物として描かれてきましたが、久米親分という比較対象がいる分どうしても頼りなく感じてしまうのも事実でした。
そんなある種の物足りなさを払拭してくれる今話の毅然とした姿は必見です。
次回ネタバレはこちら
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