こうしてひとまずピンチを乗り切ったチヌの身に、新たな試練が訪れる気配がします。
大多和が公三郎の結婚相手として連れて来た勝ち気な少女・たまきが、その聡明さと高潔さに惹かれひそかに慕い続けてきた初恋の君を堕落させた元凶たる女郎と会うため、盛田医院へ行くと言い出したのです。
主不在の若水邸において賓客として丁重にもてなされているたまきですが、さすがにその言葉に従うのはマズいと判断されたのでしょう。
人力車に乗り込んだ彼女は、結局街中を見て回ることになります。
しかしやはり諦めきれなかったのか、本人のもとへ直接出向くのがダメならせめて敵の本拠地を覗いてみようとでも思ったのか、矢津遊廓の前で降ろしてもらったたまきは、なんとそこで公三郎と出くわしてしまいました。
たまきと公三郎が・・。
驚き戸惑う公三郎に対しはじめは毅然とした態度を崩さなかったたまきですが、憧れの男性の口から遊廓や女郎を肯定する言葉が飛び出したことで、彼女の中のなにかがぷつりと切れてしまったのでしょう。
あっ・・。
妓に入れあげた末出奔した兄への複雑な想いを吐き出すように、涙を流しながら遊廓を穢れた場所だと断じ、憤慨するたまきの姿に、さしもの公三郎もかける言葉が見つかりません。
なぜなら彼も心の奥底では、公娼という制度について疑問を抱いていたのです。
・・・。
その頃チヌは盛田から退院後も1~2ヶ月は復職してはいけないという説明を受け、ひどく落ち込んでいました。
矢津一の見世である東陽楼に客が取れない妓の居場所などあるのかどうかも不安でしたし、それ以上に、
という不安が彼女を苛んでいたのです。
リハビリのため外を歩きながら物思いに耽っていたチヌは、心許なさから思わず涙をこぼします。
そんなチヌの背に声をかけてきたのは、
胸騒ぎのするような笑みを貼り付けて現れた岸でした。
ヒィィィィイイい!!(2回目・・。
声なきものの唄 69話 感想・考察
69話の見どころは、チヌに対する岸の執着っぷりです。
キモすぎるって・・
彼にとってはおそらく、プライドの高そうな華やかで美しい妓たちは、憧憬を抱くと同時にコンプレックスを刺激する存在だったのでしょう。
ゆえに威圧感がなく癒やし系のチヌにシンパシーめいたものを感じ、「旦那選び」というイベントで図らずも承認欲求を満たされたことで、依存的な感情をチヌに向けているのだと思われます。
そんな彼は泣いているチヌを見て一体どんな行動に出るのでしょうか?次話が待ち遠しいですね・・。
次回ネタバレはこちら
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