今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」104話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 104話 あらすじ
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久しぶりに顔を合わせた善助は寝たきりになってしまっており、瀬島は懸命にそんな父の世話をします。しかし奔放な母・キサは相変わらず留守がちで、夫を「役立たず」呼ばわりしたり、同じ長屋の住民とトラブルを起こしたりしていました。
しかもキサはある日、嘘をついて瀬島を呼び出し、彼の体を義山という男性に売ってしまったのです。さらにキサはおたふく風邪にかかって高熱を出した瀬島に対し、心配する素振りすら見せなかったのでした。
声なきものの唄 104話 ネタバレ
ある日、瀬島が働いている庄野屋へ、彼の父・善助が仕事中に大ケガを負ったという知らせが届きました。
善助は港で荷を運んでいた時に足をすべらせて堤の上から転落し、舟のへりに背中をぶつけてしまったそうです。その結果彼は立つことすら出来なくなっていました。
旅館へ出入りしている行商人に付き添ってもらい、遠い奉公先から急いで故郷へと戻った瀬島は、たくましく頼もしかった父親がすっかりやつれて寝たきりになってしまっている姿を見てショックを受けます。
しかも母・キサは夫がそんな状態となってもこれまでの振る舞いを改めることはありませんでした。
そのため善助の介護も掃除や洗濯などの家事もほとんど瀬島が1人で行い、健気な彼を気遣って同じ長屋に住む友人・大吉の母であるスエが時折差し入れを持ってきてくれていたのですが、ある日、そんな彼女に対してキサが殴りかかるという事件が起きます。原因はスエがキサに向かって
「いっつもフラフラ出歩いて、ロクでもねえことしとんのやろっ」
と苦言を呈したことです。そんな騒ぎがあって以降、一家は長屋の住人たちからヒソヒソと陰口をたたかれるようになってしまいますが、それでもキサは変わらず、夫婦の営みができない善助に対して「役立たず」と言い放つなどし、利己的な母の態度に瀬島の心は傷付いていました。
しかもキサはそんな瀬島の様子に気が付くどころか、さらに追い詰めるような真似をします。なんとキサは夕食のおかずを取りに来いと嘘をついて息子を飲み屋に呼び出すと、なんの説明もしないまま義山という名の男性に無理矢理身を売らせたのです。
さらにこの時瀬島はタイミング悪くおたふく風邪にかかっていたため、事が済んですぐに高熱が出てしまい、その後5日間も寝込みます。幸い命に別状はありませんでしたが、熱のせいかそれとも義山から受けた仕打ちによるものか、まだ起き上がることもできず体中が痛いと訴える彼に対してキサの口から告げられたのは、合併症が原因で子種がなくなってしまったというむごい現実でした。
その上キサは、当然ながらショックを受けている我が子に向かって、
「女と遊ぶにゃ好都合や。はらませんで済むし」
などと笑いながら言ってのけたのです。
介助がなくては排泄もできない父親が気がかりで家にとどまっていた瀬島でしたが、
「義山さんあんたが気に入ったんやてえ」
とキサに囁かれたこともあり、スエに毎月お金を送る約束をして善助の世話を頼み、庄野屋へと戻ります。
母と離れれば平穏な生活を取り戻せるかと思いきや、整った容姿で細やかな気配りのできる瀬島は女性陣に人気があり、嫉妬した同輩たちから暴力を受けてしまうのでした。
声なきものの唄 104話 感想・考察
104話には、まだ12歳の瀬島が母親に騙されて見知らぬ男性に身を売ることになるという非常にショッキングなシーンが含まれます。
しかもその時瀬島はおたふく風邪に罹患しており、高熱を出したことが原因で不妊症になってしまった可能性が高いようです。
このようなことを多感な時期に経験したにもかかわらず、その後の瀬島は表面的には特に変わった様子もなく、それまで通りに振る舞っています。
それでもやはり実母の心無い行いは、女性や性的な行為に対する彼の認知を歪めてしまったのではないでしょうか。
安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。
次回ネタバレはこちら
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