今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」101話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 101話 あらすじ
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今や堂々たる名流夫人ぶりを発揮するチヌですが、苦界の出だと知られているがゆえの苦労は矢張りありました。1つは他の名士夫人たちから受け入れてもらうのに時間がかかったこと、もう1つはなかなか子どもが出来なかったことです。
とりわけ後者に関しては、親戚から離縁するよう迫られたこともあってチヌ自身ひどく気に病んでいたため、懐妊し無事長男が生まれた際は喜びもひとしおでした。
公三郎の妻として人々に認められ、我が子もすくすく成長している今、チヌの気がかりは栄太の安否です。ちょうど彼のことを考えていた時、本人が目の前に現れたのですが・・・。
声なきものの唄 101話 ネタバレ
若水地所設立30周年記念園遊会にて、落ち着いた態度でそつなく立ち回るチヌの姿は、社長である公三郎の妻としてふさわしく、まさに名流夫人といった佇まいです。
地元で名士と呼ばれている人々の奥方らと交流を持ち始めたばかりの頃は、招待されたお茶会で誰にも言葉を交わしてもらえないなど辛い思いを何度も味わいました。しかし、名士夫人たちのリーダー的存在である銀行頭取の奥方から相談を持ちかけられた際、すぐに手を貸し事態を解決に導いただけでなく、誠実に対応したことが功を奏したのでしょう。以来チヌは彼女から一目おかれるようになり、おかげで他の夫人たちにも徐々に受け入れられていったのです。
元女郎という過去が影響を及ぼした事柄はもう1つありました。
実は一般的に娼妓をしていた女性は子どもが出来づらいとされており、チヌもまた、公三郎の妻となってから2度目の春を迎えても妊娠していなかったのです。
かつて公三郎と駆け落ちした寿子は当時身ごもっていたそうですから、不妊の原因は自分の体にあるのだろう・・・とその頃のチヌは考えていました。実際、結婚した当初からお清が用意してくれてお灸や鍼、ヨモギのせんじ茶などいろいろな方法を試してみたにもかかわらず子宝を授かる気配がなかったのですから、チヌが思い詰めてしまったのは仕方がないことでしょう。
義父母は彼女を気遣って「孫が欲しい」などと言ったりしないよう普段から配慮してくれていましたし、公三郎の後妻に娘をあてがおうと公次郎のイトコが若水邸へ押し掛けてきた際は容赦なく追い返してくれたのですが、やさしくされればされるほどチヌは彼らに対して申し訳なく感じてしまい、どんどん追い詰められていったのです。
結局、大多和が厚意で手配してくれた「結婚1年半後の“新婚旅行”」でめでたく第一子となる長男の新之介を授かり、努力の甲斐あって社長夫人としての地位も確かなものとなった現在、チヌの心配事といえば未だ栄太が戦地から帰還したという知らせがないことでした。
戦時中は少々疎遠になっていた明子との関係が元に戻り、悔いの残る別れ方をしてしまった後藤田とも本日の園遊会で数年ぶりに再会し無事和解出来たことで、いっそう音沙汰がない彼の安否が気にかかるようになったのかもしれません。
そんなふうに栄太の無事を祈っていたチヌの目の前に本人が現れたのは、彼女が招待客らへにこやかに声をかけて回っている時でした。
羽織袴姿の栄太が門扉の前に立っていることに気が付いたチヌは、歓喜の涙を浮かべながら思わず彼に駆け寄ります。
すると驚いたことに、なぜか栄太の後ろには警察官がいたのでした。
声なきものの唄 101話 感想・考察
101話では、前話のラストでちらっと出てきたチヌと公三郎の息子・新之介の、無邪気で子どもらしい姿を見ることが出来ます。
初登場時のすまし顔が驚くほど父親にそっくりだったおかげで、賢くて大人びている感じの子どもかと思いきや、愛嬌たっぷりな振る舞いはチヌに似ていて、とても微笑ましいです。
また、彼を授かるまでのエピソードは、チヌが若水家の面々に大切にされていることが伝わってきて、当時の社会通念を考えると、思わずジーンときてしまいました。
安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。
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コメント
チヌが幸せになれて良かった。
一年半で子供出きるんなら全く不妊ではないよ。。
後藤田さんも幸せそうで何より。
巴姉さんは苦労の人生なのかね。