今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」100話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
記念すべき100話です!!
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声なきものの唄 100話 あらすじ
前話ネタバレはこちら
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時が経って日露戦争が終わり、出征した栄太が矢津へと帰って来ました。戦地で怪我を負い足が不自由になってしまった彼ですが、縁あって今後は設計事務所で働くことが決まっているそうです。
また18歳になった美緒はとても美しく成長し、近くお職の座につくだろうと言われています。
明子は失明してしまった徳次に代わって家族を養うために料亭のおかみとして働き始め、おチカと結婚した後藤田はすっかり子煩悩になって幸せそうです。
そしてチヌと公三郎の間にはなんと・・・。
声なきものの唄 100話 ネタバレ
明治38年9月5日、約1年半もの間続いた日露戦争がようやく終結し、軍役についていた栄太が無事矢津へと帰って来ました。
ただし1月に満州の黒溝台という場所で繰り広げられた戦いの際右脚に大きな怪我を負い、後方の野戦病院へ送られたという彼は、それが原因で不自由な体となってしまっていました。
幸い、測量を担当していた上官の立花伍長に気に入られ、兵科から非戦闘部隊である各部の経理に引き取ってもらった縁で、今後は彼の設計事務所で働く予定だそうです。そんなふうにすっかり様変わりした栄太と同じく、東陽楼にも大きな変化がもたらされていました。
その最たるものは矢張り、体調が悪化した藤富氏が「おトウさん」を引退し、彼の遠縁にあたる横上という名の男性が新しい楼主となったことでしょう。さらに遣り手もトシではなくタネという年配の女性へと変わったのですが、残念ながら横上もタネも見世の利益を何より優先するような人物でした。というのも横上は、食事を随分と質素なものに変えたり、めくり日でも休むことを許さなかったりと、妓たちへの待遇をガラッと変えてしまったのです。
当然妓たちは相当な不満を抱えており、現在お職を張っている千代春の人柄が控えめすぎてリーダーシップには少々欠けていることも手伝って、見世に流れる空気はあまり良くありません。
ただ、そんな中でも今や目を瞠るばかりの美女となり、名も美蝶と改めた美緒は、遠からずお職の座につくと見込まれており、多大な期待を寄せられているようです。
日露戦争によって予期せぬ転機を迎えたのは、夫と共に穏やかな幸せを育んでいたはずの明子もでした。
徳次もまた栄太と同じく出征したのですが、その結果彼は爆裂弾によって両目の視力を奪われてしまったのです。
ゆえに明子は一家の大黒柱として家族を養わなければならなくなり、泉州屋をたたんで代わりに「巴」の名を冠した料亭を始めました。
そのウワサは後藤田の耳にも届いていたようで、若水地所の設立30周年を記念して開かれた園遊会で偶然明子と再会した彼はさり気なく彼女の身の上を案じる素振りを見せます。
そんな後藤田はおチカと結婚して5年が経過した現在、夫婦仲は非常に円満らしく、もうすぐ5人目の子が生まれるそうです。我が子が可愛くて仕方ないと相好を崩す後藤田は、まさに幸せいっぱいといった様子です。
そして、若水地所の社長夫人として公三郎と共に後藤田ら客人たちの前に現れたチヌもまた、父親似の端整な面立ちをした男児を連れており、その顔は静かな慈愛に満ちていたのでした。
声なきものの唄 100話 感想・考察
記念すべき100話では、戦争から帰ってきた栄太、美緒たち東陽楼の面々、明子、そして後藤田のその後の姿が描かれています。
読者の多くが気になっていたであろう栄太の安否が判明してホッとする一方で、同じように出征した徳次は命こそ助かったものの失明してしまい、気丈な明子が涙を流すシーンはとても心が痛みました。
また、順風満帆そうに見える若水家や後藤田家とは違い、東陽楼は新しく楼主となった横上なる人物がなにやら不穏な発言をしており、美緒たちの今後が少々心配です。
安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。
次回ネタバレはこちら
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