草野誼先生の「愚者の皮～メグリ編～」23話を読んだので紹介したいと思います。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
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愚者の皮～メグリ編～ 23話 あらすじ
前話ネタバレはこちらから
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リモート参加を一様に楽しむ生徒たちの中、彩川兄弟は生身での参加です。
しかし彼らがこれから起こる悲劇を阻止すべく動いていることは「新特待生」らにしっかり気付かれていました。
彩川兄弟も苦境に立たされますが、事態は「新特待生」らの思っていた通りにはなりませんでした。
兄弟に助けを求めていた生徒たちは、無様な彼らの姿を嘲笑したりせず、無力な己を重ねて応援し始めたのです。
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愚者の皮～メグリ編～ 23話 ネタバレ
学園開校祭スタート・・！
学園から送付されたデバイスを通してそれぞれの自宅から続々と参加し始めた生徒たちは、誰もがはしゃいだ様子を見せています。
システムの画期性に加え、感覚代行の領域を増やして臨場感のパーセンテージを上げることによりパレットの解放などエンターテイメント性の高い機能が追加され、その上お祭りらしく模擬店やコンサート、職業体験などの魅力的なアトラクションまで多数用意されているのですから、当然の反応と言えるでしょう。
そんな色めき立っている学園内へ、黄丹を除く彩川家の男子たちは生身の体で乗り込んでいます。
拡張現実の中では異物となる自分たちの存在を、彼らは鶸がわずかに使える「和肌」で誤魔化しているつもりでしたが、残念ながらなにもかも「新特待生」たちには筒抜けでした。
「体験版」でうちのめされた彩川兄弟が次にどんな行動に走るか「すべて予測済み」だと豪語する彼らは、あらかじめ兄弟たちの身体が放つ周波数をロックオンしていたらしく、すなわち必要とあらばいつでも監視下におけるよう手を回していたのです。
。。。
やがてこの愉快で平和な仮初めの一時は、突如校舎が大きく傾いたことをきっかけとして無情にも終わりを告げます。
きた・・・！！
そして「新特待生」たちは、もう２度と家へ帰れないかもしれない恐怖に青ざめる生徒たちに向かって「あなた方の選択肢はふたつあります」と告げます。
指定のエリア内・・それだけ・・？
しかしそれは「新特待生」らの仕掛けた罠だったのです。
エリアは時間が経つにつれどんどん狭まり、精神的に肉体的にも追い詰められいく少年少女らは、若木学園の生徒たちにとってのヒーローである彩川兄弟に助けを求め始めます。
しかしその頃彼らは、「新特待生」側についた黄丹の「和肌」と、見抜かれてしまった自分たちの中の「山母」を悪用され、なかなか臨場感の発信元へたどり着けずにいました。
まずい・・早く・・！！
「新特待生」らはそうして苦しむ兄弟の姿を嘲笑い、彼らに期待する生徒たちの眼前に悪意をもって突きつけます。
しかし「新特待生」らの思惑は外れ、生徒たちが兄弟に失望することはありませんでした。生徒たちは無力で惨めな彩川兄弟に共感し、彼らを、そして自分たちを奮い立たせるかのように、誰からともなく校歌を口ずさみ始めます。
やがてその歌声が合わさって大きなものとなった時、再び「共感覚のブレイクスルー」は起こりました。行動経済学に基づく「新特待生」らの計画には、「ルトワックの逆説的理論」通り逆風が吹き出したのです。
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愚者の皮～メグリ編～ 23話 感想・考察
２３話の見どころは、「共感覚」のような特筆すべき力のない大勢の生徒たちが、「新特待生」らの策略によって追い込まれ、彼らが英雄視していた彩川兄弟の情けない姿を目の当たりにした時、呆然としつつも決してガッカリしたりせず、「あそこにいるのは私たちよ」と言って皆で校歌を歌い出すくだりです。
ここがターニングポイントとなって、それまで順調に右肩上がりを続けていた「新特待生」らの計画達成率が下降を始めます。
それは奇しくも、問題解決のために必要なのは圧倒的な力を持つリーダーではないという前話に登場したセキの指摘を裏付け、読者にも勇気と感動を与えてくれる必見のシーンとなっています。
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次回第24話ネタバレはこちらから
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