今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」102話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 102話 あらすじ
前話ネタバレはこちら
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栄太が無事に帰ってきたことを知り喜んだのも束の間、彼と共にやって来た警官から姉が罪人として捕まったと聞かされたチヌはショックを受けます。
チヌとの決別後、サヨリはずっと瀬島を捜し続けていましたが、やがて病気が悪化し、今ではこじきに身を落としていました。そのため、さしもの彼女も瀬島のことは諦めようとしていたのですが、かつての自分のような女性と共にいる彼の姿を偶然
にも見てしまい、衝動的にその息の根を止めたのでした。
声なきものの唄 102話 ネタバレ
栄太が突然訪ねてきたことに驚きつつも、チヌは彼との再会を喜びます。
しかし何故か栄太の背後には警察官が立っていました。
栄太によればチヌに用があると藤富家へやって来たため、彼がここまで案内したそうです。
木下と名乗った警察官は、共に故郷へ帰った際にチヌがサヨリへ渡したお守りを持っていました。
それを見たチヌはまさか姉が亡くなったのかとたちまち青ざめます。しかし木下の口から飛び出したのは、なんと
「安藤サヨリは、殺人(コロシ)の罪で拘留されとります」
というショッキングな言葉でした。
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5年前、瀬島を捜すためだけにチヌと決別したサヨリは、大阪までたどり着いたものの、彼とつながりがあった料亭はすでに閉店しており、これからどうすべきかと途方に暮れていました。なにしろ彼女は瀬島について、名前以外の情報を持っていなかったのです。
しかしそこで挫けるサヨリではありません。彼女はこれまでそうしてきたように、男性に体を売って生活の糧を得ることにしました。
“女商売”の界隈に身を置いていれば、流れの女衒である瀬島の話がいつか耳に入るのではないかと考えたのです。
そうして下位の女郎屋を転々としていたサヨリでしたが、やがて梅毒が3期へと移行します。ゴム腫と呼ばれる痛々しい腫瘤が顔面にまで広がり、そのせいで感染者であることを客に気付かれてしまったサヨリは、劣悪な環境の病院に入れられるのを避けるため、慌てて見世から逃げ出しました。
それでも瀬島への想いを捨てられないサヨリはこじきに身を落としながらも売春を続けていましたが、当然ながら症状は悪化の一途をたどります。ゴム腫のせいで顔が変形し、鼻は欠損、歩行にも障害が出て、もはや男性の相手をすることも出来ません。サヨリはこれまでずっと現実から目を背けていましたが、ここへきてようやく瀬島との再会を諦めはじめていました。
大阪北西部にある実生寺で偶然、瀬島を発見するという奇跡が起きたのは、その矢先のことです。
サヨリは歓喜から思わず涙を流しますが、瀬島はかつての彼女を彷彿とさせる美しく可憐な少女を連れていました。
しかも彼は声をかけてきたサヨリに向かって、残酷にも
「誰や」
と言い放ちます。
激昂したサヨリは、ちょうど境内で鐘楼を修理だった大工らが置いていたノミで、瀬島を思い切り刺しました。
そこで初めて彼女が何者か気が付いた瀬島は、
「こん役目・・・するんは、おめぇやったか」
と笑いながら呟いて、まもなく息を引き取ります。
サヨリもまた満足気な微笑みを浮かべて
「こいでもう、うちのモンや」
と言うと、周りが騒然とする中、血まみれのノミを使って瀬島の局部を切断したのでした。
声なきものの唄 102話 感想・考察
警察官がチヌに会いに来たのは、なんとサヨリが瀬島の命を奪った犯人として大阪で勾留されていることを伝えるためでした。
奇跡的に瀬島との再会を果たしたサヨリの感情が乱高下する様子は凄絶で、今話の見どころの1つです。また、刺されても一切取り乱したりせず、己の運命を泰然と受け入れる瀬島の最期も必見です。
余命幾許もないと思われるサヨリは本懐を遂げて満足かもしれません。
しかしチヌは当然心を痛めるでしょうし、実姉が罪を犯したことで彼女にもなんらかの影響が及んでしまうのではないかと心配です。。。
安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。
次回ネタバレはこちら
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