今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」99話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 98話 あらすじ
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再度若水家を訪れた沼尻を晴子はなぜか歓待せず、その正体を怪しんでいるような態度を見せます。
もしや脅迫の件がバレたのかと沼尻は慌てますが、チヌと2人きりになると途端に調子づき、邸内に飾ってある高価な品を勝手に持ち帰ろうとしました。
そんな沼尻に向かってチヌは、公三郎とは別れるつもりであることを伝えます。すると沼尻は、ならば自分の女になれと言い出しました。
しかもその提案をチヌが手厳しく断ると、怒って彼女に暴力を振るおうとしたのです。
そこへ颯爽と現れてチヌのピンチを救ったのは、なんとまさかの・・・。
声なきものの唄 99話 ネタバレ
沼尻が再び若水邸へとやって来ました。
公次郎が未だ帰宅していないことを承知の上で訪れたにもかかわらず、
「こりゃあ申し訳ねえこって」
などと心にも無いことを言う沼尻に対し、晴子が向ける眼差しは冷ややかです。
さらに晴子はなぜか工場の経営状況について彼を質問攻めにしました。
前回会った時とは明らかに違う晴子の態度に、沼尻は
(まさか千鳥め、わしんことバラしたんやねえやろな!?)
と焦りました。
すると、そんな彼の内心を見抜いたかのようなタイミングでチヌが
「義母上様。せっかくいらしてくださったんですけん、当家自慢のギャラリィ・・・でんお見せしてはいかがでっしゃろ?」
と提案します。
おかげでチヌと2人きりという状況になり、ホッとして調子を取り戻した沼尻は、ギャラリィに飾ってある見るからに高価そうな品を貰えると思い込んではしゃぎました。
しかしそれはぬか喜びに終わります。なんとチヌは、勝手にギャラリィの品に伸ばした沼尻の手をぱしっとはたき落とすと、公三郎とは離縁して若水家から出て行くつもりであることを彼に向かって告げたのです。
そうなるとチヌからお金を脅し取れなくなってしまう沼尻は驚き、慌てて
「ええんか!?せっかく玉のコシに乗ったっちゅうに」
と大きな声を出しました。
しかしすぐさま
(どうせ若水を出るっちゅうんなら、わしん女にして、どこぞの見世へ売っちまやええのや・・・!)
と考えを改め、チヌの手をぎゅっと握りながら
「なあ・・・そげんなら、こんままわしと家出ようやねえか・・・?わしが面倒みたるけん」
などとのたまいます。
ただし、そんなたわ言を口にした沼尻に対してチヌが狼狽えることはありませんでした。「なして、あんたが、うちに触れとる?「客」でもねえあんたが」と冷然と問いかけた後、毅然とした態度で
「“千鳥”が抱かれたんは、あんたが「客」だったからだけんことやっ。”チヌ“はあんたなぞにこれっぱかしも用はねえ!」
と言い放ったのです。
予想だにしなかった啖呵に沼尻は逆上し、チヌに向かって手を上げようとしました。
が、次の瞬間、勢い良くドアが開き車椅子に乗った晴子が現れたかと思うと、
「うちの嫁に、何する下郎!!」
と叫びながら人の頭ほどもある大きなツボを沼尻目がけて投げつけたのでした。
その結果、見事ツボは沼尻の顔面にクリーンヒットし、彼はあっけなく気絶してしまいました。
そこへ折よく公三郎が帰宅し、事の次第を知ります。彼は沼尻を病院へ運び、治療費まで出した上で
「今度チヌに近づいたら即刻警察いきだ」
と釘を刺しました。
さらに
「いやいっそ、あなたをこっそり始末したほうが手っ取り早いですかねえ。沼尻さん・・・?」
などと付け加えて相手を脅かしたので、もう沼尻がチヌと接触することはないでしょう。
こうして沼尻の件は、無事に落着したのでした。
声なきものの唄 99話 感想・考察
99話は、不穏な空気に満ちていた前話とは打って変わり、ホッとして思わず笑顔になってしまうような回でした。
見どころは2つあり、1つ目は、チヌが沼尻の要求をキッパリとはねつけたシーンです。独り善がりな決断かもしれせんが、腹をくくったチヌは堂々としていてとても格好良いです。
2つ目は、晴子がチヌのことを「うちの嫁」と呼び、彼女のために怒って沼尻にツボを投げつけるシーンです。晴子が明瞭な発音で話したという点でも明るい未来を予感させてくれて、こちらも非常に印象的な場面でしたね。
安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。
次回ネタバレはこちら
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