今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」94話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 94話 あらすじ
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突然戻って来た公三郎の両親に対し、チヌは緊張しつつも「公三郎様の嫁として、誠心誠意義父上様義母上様にもお仕えしたく存じます」と頭を下げました。
公三郎の父親はそんなチヌを好意的に受け入れますが、母親の晴子は頑なに彼女を認めず、わざと熱いお茶をかけたり、足を引っ掛けて転ばせたりと幼稚な嫌がらせをするようになります。
しかしチヌはめげることなく義母との仲を改善しようと努め、公三郎はそんな妻をますます慈しむのでした。
声なきものの唄 94話 ネタバレ
公三郎の母・晴子はチヌと顔を合わせるなりその表情を苛立たしげに歪ませ、車椅子の肘掛けをダンダンダンダンと激しく打ち鳴らしました。
対して公三郎の父親は、そんなふうに不満をあらわにする妻とは違い、息子の嫁としてチヌを快く受け入れます。それは彼が遊び人ゆえに懐深く、たいがいのことには鷹揚であるからというだけではなく、文字通りその身を挺して公三郎を守ったチヌに深く感謝していたからでした。
それでも、公三郎の父親は昔の罪滅ぼしに現在は妻の意志を尊重する姿勢をとっており、晴子が望まない以上、2人はチヌと同じ食卓を囲むこともありません。
そのためチヌは
「どうぞ ご両親とお過ごしくだせえ。うちが親子の間を裂くことになっては、申しわけがたたねえです」
と、公三郎だけでも両親と共に食事するよう彼にすすめます。
しかし公三郎は、そうしてしまうと「君を認めない母を、僕が許したことになる」と言って、両親とは一緒にお酒を飲むだけにとどめ、食事は夫婦2人でとることを選びました。
当然ながら晴子はそんな公三郎の行動が気に入りません。自身が不機嫌であることをあからさまな態度で示す様子を見た大多和は、そんな晴子に向かって
「奥方様んお気持ちはようわかりますわ。どないしてんあん女(おなご)がこの家にふさわしいとは・・・ねえ」
と同意してみせます。そうして彼はさらに、「いくらあん女が3代目の命の恩人やとしても、「分相応」っちゅうもんがある。ほんまにこの家にふさわしいか・・・奥方様が見極められたらどないです?」などと続けたのでした。
そのせいか、当初はチヌのことを無視するつもりだったらしい晴子は、翌日から彼女に対して辛く当たるようになります。
湯のみ茶碗をわざと払いのけて熱いお茶を2度もチヌにかけた際には、さすがに公三郎の父親が「ガキみてえな真似すんなや晴子・・・」と苦言を呈し、「あの世いきをカクゴしとった息子が、この世に戻って惚れこんだ女やぞ。認めんでどないする」と諭しましたが、晴子はそれ以降もチヌをいびり続けました。
義母からそんな仕打ちを受けてもチヌは弱音を吐くこともせず、公三郎の妻としてきちんと認めてもらうべく献身的に晴子の身の回りの世話をします。公三郎はチヌの健気な心遣いに深く感謝し、忙しい仕事の合間に買い求めた品々を彼女へ贈り、愛の言葉を惜しみなく囁きました。
邸内の使用人らは新婚夫婦の仲睦まじい様子を微笑ましく見守り、公三郎の父親も「あれを別れさせようなんざ、いらんお世話や」と2人に味方するのでした。
声なきものの唄 94話 感想・考察
94話では、公三郎の母親・晴子とチヌが初めて顔を合わせました。
良家の生まれゆえに気位が高い晴子は、息子の妻に元女郎を迎えることなど許さないとばかりに、チヌに対して露骨に拒絶する姿勢を見せます。ただ、これまでにチヌが受けてきた仕打ちを思えば晴子の振る舞いなどかわいいものです。
たまきがチヌの良さを理解して彼女と公三郎との仲を認めたように、いつかは態度を軟化させてチヌを受け入れてくれるのではないでしょうか。
次回ネタバレはこちら
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