今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」89話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 89話 あらすじ
前話ネタバレはこちら
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「お香」と呼んで欲しいと言いながら、サヨリは色気たっぷりに公三郎へと迫りました。
しかし、公三郎からきっぱりと拒絶されたため、サヨリは別の手近な男性と関係を持ち、そのせいでちょっとした騒ぎが起きてしまいます。
そんなサヨリの変わりように、チヌは心を痛めていました。
それでも、共に故郷の伊之島へ行った際、久しぶりに笑い合うことが出来て、昔の姉に戻ってくれたと胸をなでおろします。
ところがその矢先、サヨリはまたも不穏な行動をとるのでした。
声なきものの唄 89話 ネタバレ
チヌが席を外すのと入れ替わるようにしてやって来たサヨリは、断りもなく公三郎の隣に座ったかと思うとその肩にしなだれかかり、右手で彼の太ももを撫でながら「ええ手触り・・・ね?」と囁きました。
そして、「なぜ”お香“と・・・・・・?”サヨリ“ではだめですか」と問いかけた公三郎に対し、「・・・”お香“のほうが、生きとる気ィするんやわ」と答えます。
サヨリはさらに「ここん人は“サヨリ”いわれるで「誰んこと?」と思うてしまうわ」と笑いながら続けたため、公三郎は「それは、チヌちゃんが悲しむでしょう」と返しました。
するとサヨリはチヌについて「ええ子。こげな立派な旦那まで持って・・・」などと言った後、よりいっそう公三郎の体に己のそれを密着させ、うっとりとした表情で「ええ旦那はうちのモン・・」と呟いたのです。
公三郎は、そんなサヨリの肩をつかんでグッと押し戻すと、「サヨリさん。僕はあなたの妹のチヌちゃんと結婚して、あなたの義弟になるんです。“旦那”にはなれません」と毅然と言い放ちます。
と、途端にサヨリはしかめっ面を作り、「・・・なあんや、つまらん。つまらん男(ひと)!」と吐き捨てるように言ったかと思うと、さっさとその場を去ってしまったのでした。
公三郎の意向により、この件がチヌの耳に入ることはありませんでした。
しかし、公三郎から拒まれたサヨリは、代わりに藤富家へ出入りしている植木職人の青年を誘惑し、あろうことか敷地内で彼と行為に及んだのです。
それを知った東陽楼のおカアさんから、「ありゃ男なしにゃおられん女や。そいで どないな騒ぎが起ころうがおかまいなしや。あんたの姉は、そういう女に成り下がったんや」と忠告され、また、サヨリを若水邸へ引き取れば公三郎に迷惑をかける可能性が高いことを指摘されたチヌは、深く思い悩みます。
しかし、公三郎の計らいにより姉妹揃って向かった生まれ故郷の伊之島で、ひょんなことから念願叶い、かつてのように明るく笑い合いながらサヨリと言葉を交わすことが出来たチヌは、(元に戻ってくれてえかった。やっぱり うちん姉やんや・・・!)と喜び、心が通じた今ならばきっと素行を改めてくれるはずだと考えて、安心して矢津への帰路についたのでした。
しかし、港に到着し、さぁ下船しようというところで、事件が起きます。
チヌに続いてタラップを降りていたサヨリが、不意に
「・・・・・・チヌ。かんにんな」
と呟きながら妹に対して据わった眼差しを向けたかと思うと、すかさずドンッとチヌの背が押されたのです。
そうして次の瞬間、バシャーンという音と共に、大きな水しぶきが上がったのでした。
嘘・・でしょ・・?
声なきものの唄 89話 感想・考察
89話は、サヨリがチヌの背を押して海へ突き落としたかもしれない・・・?!という、非常にショッキングなシーンで幕を閉じました。
序盤でサヨリの発言や行動にがっかりさせられ、その後腹を割って話し合ったことで姉妹の仲が良い方向へ進み始めたかも?と誰もが思った矢先の出来事なので、チヌ共々読者もサヨリの言動に翻弄されてしまった回だと言えるでしょう。
ただ、サヨリの態度は不自然なほど冷淡で薄情過ぎるので、わざとそのように振る舞って、チヌのために彼女から離れようとしている可能性もあります。
次回ネタバレはこちら
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