今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」87話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 87話 あらすじ
これまで世話になった礼と別れの言葉を伝えるべく、東陽楼へと赴いたチヌは、そこで後藤田と鉢合わせます。
連絡も取れないチヌの身を案じていた後藤田は彼女の無事を喜び、その様子に罪悪感を抱きつつも、チヌは娼妓をやめたことを後藤田に伝えました。
後藤田はひどく動揺し、公三郎に落籍されたのか?とチヌを問いただします。
チヌが公三郎から結婚を申し込まれたことを明かすと、いったんは落ち着きを見せた後藤田でしたが、すぐに態度を豹変させ、最後にもう一度抱かせてくれなどと言い出したのでした。
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声なきものの唄 87話 ネタバレ
挨拶もなしに飛び出したままであることを気に病み、養母と共に東陽楼へと向かったチヌは、見世の前で声を荒げている後藤田の姿を見つけて驚きます。
後藤田は、桜茶屋の夜以来ツナギが取れず、理由を明かさず見世にも出ていないチヌのことを、もしかしたらよそへ売られてしまったのではないか?ととても心配していたようです。
後藤田が出会い頭で浮かべた満面の笑みや、「まずは・・・元気そうでひと安心や」という優しい言葉に胸の痛みを感じつつ、チヌは彼に、もう見世をやめたことをおそるおそる伝えます。
すると後藤田は、当然ながらひどく驚いた後、(えっ・・・そしたらわしゃ もう、千鳥を抱けんのか・・・・・・?)と気付いてボーゼンと立ち尽くしてしまったのでした。
それ以来、後藤田はイライラと不機嫌な日々を過ごしていました。
そこへさらにチヌからの手紙が届き、それが娼妓を廃業することを改めて知らせるものだったため、後藤田はますます気分を害します。
東陽楼のおトウさんこと「藤富豊志」の名を借りて、同じ内容の手紙が、加来、仙海、白井の3名にも届けられ、彼らも皆後藤田同様大変なショックを受けました。
しかし、これまでずっと千鳥太夫の旦那候補としてチヌを支えてきた3人は、彼女の門出を祝うべく、皆で集まり餞別会を開くことにしたのです。
その席には無論後藤田も参加したのですが、苦界から抜け出せたことや、生き別れになっていた姉との再会を果たせたことを言祝ぐ加来たちとは違い、彼は「で?いってえどいつに落籍されたんや!?」などとチヌを問い詰めはじめます。
白井から「キモチよく送り出したろゆうたやんかっっ」と叱責されても後藤田の口は止まりません。
やがて後藤田は、チヌが藤富家の養女となった事実から彼女の相手は公三郎に違いないという考えに至り、「手切れん式までやって切れた若様がおんしを落籍したんか!?へっ未練たらしくっ」と激高し出してしまいました。
そのためチヌは公三郎から正式にプロポーズされたことを明かし、おかげで後藤田も「・・・さすがの若様やな。わしゃ いくらおんしを好いとっても、“妻にする”とはついぞ考えつかんかった。わしゃいつもやつには勝てん・・・」と納得したそぶりを見せます。
ところがその直後、後藤田は「最後に、もういっぺんだけおんしを、抱かせちゃくれねえか」という正気とは思えない台詞を口にしたかと思うと、「わしと若様と、どっちがええかもいっぺん試してみろや」と言ってチヌに迫ったのでした。
声なきものの唄 87話 感想・考察
87話の見どころは、チヌが娼妓から足を洗ったことを知ってショックを受けた後藤田が、強引に彼女に迫るという衝撃的なラストです。
後藤田はずっと公三郎のことをかなり強くライバル視していたので、彼とチヌとの婚約を知れば、必ずや一波乱あるだろう・・・と読者のほとんどが考えていたと思います。
しかし、これまで気持ちの良い好人物として描かれ、廓遊びにも馴れているはずの後藤田が、みっともなくチヌにすがり付くような真似をするとは、誰も予想していなかったのではないでしょうか。
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