今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」83話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
↓↓↓
声なきものの唄 83話 あらすじ
前話ネタバレはこちら
↓↓↓
声なきものの唄 83話 ネタバレ
ただ、当然ながら「自前」であるチヌがその地位につくことを快く思わない者もいます。
父親にロクな稼ぎがない上に、5人いる弟妹の内1人が病弱なため、自らすすんでその身を売ったという冨丸などはその筆頭でした。
冨丸は日頃からチヌに対してあからさまな憎悪の目を向けていましたが、ある晩母親が金の無心にやって来たところを偶然にもチヌに見られてしまい、彼女に向かって思わず「あんたにゃ面倒みる家族もおらんのやろ?その上自前・・・うらやましゅうて歯がみするくれえやわ」と恨み言をぶつけます。
・・・。
さらに「二枚目の座うちに譲って、稼がせてくれたらどないや!?」などと怒鳴りつけられたチヌが何も言えずに立ち尽くしていると、不意に久米親分が現れ、「・・・とんだいいがかりやなあ」と彼女に声をかけてきました。
驚くチヌに久米親分は、「菊比べ」と並ぶ矢津遊郭の二大行事であり、もうじき開催される「桜茶屋」の仕切りを引き受けることになったため、その相談をしに来たのだ・・・と自らがこの場にいる理由を説明します。
するとチヌは「ちょうどえかったわ」と言って、サヨリの捜索を手伝って欲しいと
久米親分に依頼したのです。
「これまでは若様が手配してくださってたけん、今はもう・・・こっからはうち自身がお願えしてえんです」と続けたチヌに、久米親分は慌てて、公三郎が現在もサヨリを捜し続けていることを伝えます。
チヌは、せっかくのプロポーズを断ってしまった自分のことなど、公三郎はすでに忘れてしまったか、そうでなければ「失礼な女や」と怒っているに違いない・・・と考えていました。
そうだよね・・。
しかし、彼が今なお自分のために動いてくれていると知って胸がいっぱいになり、思わずその場に崩れ落ちると、とめどなく涙を流したのでした。
チヌ・・。
その後やって来た「桜茶屋」の日、チヌは以前公三郎から「花見の頃に着ていけるように」と贈られた着物を身に纏っていました。
そんなチヌが久米親分を見かけて挨拶をすると、彼は「客が立てこんで疲れたやろ、今んうちにひと休みするとええ」と言いながら、「あまり人のいかん穴場」をこっそりと教えてくれました。
「あまり人のいかない穴場」・・。
「ええとこやで」という言葉に素直に頷き、指し示された場所へと足を運んだチヌは、なんとそこで座り込み海を眺めている公三郎の姿を見つけます。
なっ・・・!!!!!!!!!!!!!!!!!!
わずかに目を見張った後、「・・・着物、着てくれたんだね」と呟いた公三郎へと駆け寄ったチヌは、勢いのままに彼に抱き着きました。
うわあああああああああああああああああ泣
そうして涙ながらにサヨリの件で謝意を伝えるチヌに対し、公三郎は「チヌちゃんに結婚を断られても承諾されても、君のお姉さんを見つけるのは僕の役目と決めていたんだ」と優しく微笑み、それから「この先にもキレイに咲いてるところがあるんだよ」と言って、波打ち際に立つ一本の桜の木のもとまで彼女の手を引きました。
声なきものの唄 83話 感想・考察
83話では、久米親分のおかげで久しぶりにチヌと公三郎が再会します。
ついに・・・!!!!
この時チヌが偶然にも公三郎から以前プレゼントされた着物を纏っていたのも運命的ですし、二人が女郎とその旦那という関係性であった頃から続いていたプラトニックな距離がようやく縮まり、満開の桜の木の下で抱き合い一つになる姿は、非常にドラマティックです。
プロポーズ後もまだどことなく“庇護者と被庇護者”という印象が拭えなかった彼らがやっと“男と女”になった、美しくも官能的なシーンは必見です。
次回ネタバレはこちら
↓↓↓
コメント