今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」80話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 80話 あらすじ
前話ネタバレはこちら
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声なきものの唄 80話 ネタバレ
チヌ、、どうしたのよその格好・・。
当然それを見た道行く男性たちは「おいおい、なんやあん妓は。お下げ髪って素人女(カタギ)かよ!?」とざわつきますが、驚きの声はすぐに「いやぁ、こりゃなかなか。新鮮なモンやなぁ」などといった好意的なものへと変わります。
ほう・・?
また、さっそく付いた客に対し、チヌは手ずから火鉢で燗をつけたり、あらかじめお重に詰めておいたアテを小皿へ取り分けたりし、さらにあえて震えて緊張しているように振る舞いました。
・・・。
これらの演出によってチヌは、まるで「未通女(おぼこ)」を相手にしているかのような感覚を客に味わわせ、その珍しさで客を喜ばせることに成功したのです。
なるほどね、チヌの作戦だ。
そもそもチヌがこのような行動に出たのは、後藤田のふとした言葉から、きらびやかに着飾った状態で質素な部屋にいると、どうしてもうらぶれた印象を客へ与えてしまうことに気付いたからでした。
この大胆な戦略に対し、トシは「東陽楼の品格が問われるわっ」と難色を示しましたが、巴は「おもしれえ」と言い、「チヌの復帰祝いや。ひと月、今んやり方でやってみぃ。妓たちにゃうちからよういいきかせておくけん」と根回しまで引き受けてくれます。
その上、巴は、復帰後初めて取った客に気持ち悪がられてしまったために現在は包帯を巻いて隠している傷あとについても、「“値打ち”っちゅうんは、勿体つけると上がるもんやで」というアドバイスまで贈ってくれました。
巴は優しいね。
傷あとに関しては後藤田も、チヌが公三郎を庇って傷を負ったことを洒落た言い回しで芸者衆に歌わせる・・・というなかなか粋な一計を巡らせてくれたようです。
後藤田の狙い通りその戯れ歌は流行し、まもなく矢津中に広まった結果、「揚がってもめったにゃ見せてもらえん」チヌの傷あとは、むしろ人々の好奇心をかきたてるものへと変化しました。
また、かつて「旦那候補」として名乗りを上げていた加来・白井・仙海の3名も、後藤田の呼びかけに応じて彼が考えた「推し(ヒイキ)女郎・復活大作戦」に加わり、各々の得意分野を活かしてチヌを盛り立ててくれました。
とりわけ仙海の助言で、ご新造風や女学生風、女給風、令嬢風など毎日装いを変えたことが大ウケし、「千鳥太夫」の人気は再び上がり始めます。
うおおおおお!!
後藤田たちはさらにチヌの快気祝いとして紅白まんじゅうと手ぬぐいを東陽楼で働いている者全員に配り、おかげでチヌに冷たく当たっていた仲間たちもすっかり態度をやわらげたのでした。
快気祝いだあああああ!!
声なきものの唄 80話 感想・考察
80話は、後藤田を筆頭にかつてチヌの「旦那候補」だった4人の男性による、「推し(ヒイキ)女郎・復活大作戦」が見事に功を奏する展開が、非常に痛快で面白いです。
「自前女郎」の道を選んだことでレベルダウンした待遇と、深く残ってしまったお腹の傷のせいで、凋落の一途をたどってしまうのではないかと思わずにいられなかったチヌが、後藤田たちの助力とユニークなアイディアによって人気を盛り返していく様子は、様々に変化するチヌの衣装が目を楽しませてくれることもあり、とてもわくわくさせられます。
次回ネタバレはこちら
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