今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」76話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 76話 あらすじ
そして、なおもたまきからお金を引き出そうとする圭哉に食ってかかったのです。
前話ネタバレはこちら
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声なきものの唄 76話 ネタバレ
公三郎の提案によりたまきから勉強を教えてもらうようになったチヌは、学ぶことの楽しさを知ると同時に、彼女の膨大な知識量と優秀さに尊敬の念を抱きます。
『公三郎に頼まれたから・・・』
と言ってアメリカ帰りの才女であるたまきが地理や算術、英語、歴史などを教えてくれるようになって間もなく、チヌはこれまでの人生で縁のなかった勉強というものを(おもしれえ)と感じるようになりました。
そのことを我ながら意外に思っていたチヌは、不意にそれはたまきの教え方が巧みなおかげだと気付き、ただ博識なだけではない彼女の英明さを素直に賞賛します。
また、しぶしぶ教師役を引き受けたはずのたまきも、どんどん知識を吸収し「知らなかったことを知る」喜びで顔を輝かせるチヌを見ているうちに
お互いにいい関係になりそうだね。
と思えるようになり、
と彼女のことを評価するまでに至りました。
たまきにも心境の変化がありそうだ。
ただし、これまで蔑視し嫌厭していた女郎に対してそんな感想を抱いてしまったことに、たまき自身驚いているようです。
そんなふうに少しずつ2人の間にあった溝が埋められ、同居を始めた当初ただよっていたギスギスとした空気が払拭された頃、チヌは深夜にこっそりと出掛けていくたまきに気が付き、思わず彼女の後をつけます。
ふむ・・たまきどこへ・・
そして、すっかり顔を青ざめさせたたまきが「兄上・・・お金コレでENDです」と言いながら圭哉に金銭を渡すところをしっかりと目撃してしまったのです。
お金を・・
しかも圭哉は「これ以上・・・ニモツ減ったらバレます」というたまきの言い分を「さっさと結婚相手の若水氏にねだりゃあよかろうっ」と一蹴し、それどころか「・・・そうだ、わしを紹介しろ若水氏に。わしから直接頼もう」などと言い出しました。
なんだこいつ・・
公三郎に無様な兄の姿を知られたくないたまきは当然キッパリとその要求をはね付けますが、「ハジ知らずはあの方にアワセない」とまで言い切られた圭哉は逆上し、実の妹に向かって手をあげます。
うわっ・・!!!
そんな一部始終を見ていたチヌは思わず物陰から飛び出し、その身でたまきを庇いながら「あんたさんひでえやねえですかっ」と圭哉を詰りました。
さらにチヌは、2人が交わしていた会話から兄にお金を無心されたせいでたまきが本を売り払ったことを察し、「人の大事なモンを金にして心が痛まねえなんざ、まるで女衒やわ・・・・・・!」と圭哉に対する怒りをあらわにしたのです。
チヌカッコいいけど、危ないよ・・!!
無論それで圭哉が改心することはありませんでしたが、騒ぎ声を聞きつけた住民が集まってきたために、彼は慌ててその場から駆け去りしました。
なんと彼らは逃げ帰ってきた圭哉に対し、「目障りな妾を消しゃあ妹の婚礼話も早う進むってもんや」と言ってチヌをさらって売りとばすよう命じたのでした。
あああああああああ・・・
声なきものの唄 76話 感想・考察
76話の見どころは、ぐっと良い方向へ向かい始めたチヌとたまきの関係性です。
授業を通してたまきの見識の高さや聡明さに触れたチヌは、そのレベルに至るまでにどれほどの研鑽を積んだのかと彼女を尊敬するようになりました。
ここで生育環境の違いを感じて卑屈になったり、妬心を抱いたりしないところがチヌの良いところですね。
またたまきの方も、意欲的に学ぶチヌの姿に意識の高さを感じ、そのおかげで女郎に対する侮蔑や嫌悪の念はずいぶん薄れてきたように見えます。
2人が仲良くなるのは喜ばしいものの、公三郎がどちらか1人を選んだ時のことを考えると、少々複雑な展開です。
次回ネタバレはこちら
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