今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」107話を読んだので紹介します。

この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 107話 あらすじ
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おかげで無事にサヨリの遺骨を故郷にあるお墓へ納めることができたチヌは、うさぎ屋のセンのもとへも足を運び、姉が亡くなったことを報告します。
サヨリの最後について説明されたセンは、サヨリは本懐を遂げることができて幸せだっただろうと言いました。
その言葉を聞いて、チヌはいくらか気持ちが救われたのでした。
声なきものの唄 107話 ネタバレ
サヨリを大阪で荼毘に付し、公三郎と共に矢津へと戻ってきたチヌには、懸念していることがありました。それは、姉が起こした事件の噂が広まって、町の人々から非難や好奇の目を向けられてしまうのではないかということです。
そんな不安にきちんと気付いてくれた公三郎からは
「何をいわれたところで僕も若水の家も揺るぎもしない」
と励まされますが、それでもチヌは心配でした。
しかし若水邸で2人の帰りを待ち構えていたらしい大多和のおかげで、それは杞憂に過ぎなかったことが判明します。
実はサヨリが瀬島に襲いかかった場所は人気のある有名な古刹でした。そのため境内で惨たらしい刃傷沙汰があったことが知れ渡ってしまうと不利益を被る者が多く、警察を含め誰もが事件について表立って口にしようとしなかったようです。
その結果、事件は新聞で報じられることもなく、「無かった」ことにされたのでした。
だから気に病む必要はないと大多和からも言われたチヌは、彼の気遣いに感謝しながら気持ちを切り替え、サヨリの遺骨を納めるために故郷の伊之島へと向かうことにしました。
また、以前サヨリがお世話になったうさぎ屋のセンに姉が亡くなったことを報告したいと考えたチヌは、1人で讃岐の高松にも足を運ぶことを決めます。
三保鉱山の閉鎖に伴い、山の上にあったうさぎ屋は残念ながら畳まざるを得なかったため、現在センはふもとの町で居酒屋を営んでいました。もちろんツル、カメ、スガの3人も従業員として元気に働いています。
サヨリの壮絶な最期を知らされたセンは、チヌに対しては
「大変やったな」
と労いの言葉をかけ、サヨリについては「最後まで己の想いを貫き通せた」のだから本望だっただろうと評しました。
センはチヌと初めて会った際にもサヨリのことを
「みじめに見えても本人は幸せやったかも」
と言っており、「端からどないに不幸に見えたとしても、本人の心持ちはわからねえ」という考え方の持ち主でした。
これまでは姉の辿った末路に胸を痛めていたチヌでしたが、このセンの言葉のおかげで心が軽くなったのでした。
その後チヌは東陽楼にいる美蝶にも会いに行き、サヨリの訃報を伝え、亡くなる前に彼女が起こした事件についても隠さずに話しました。
その際美蝶が白居易の詩を引用して
「逢わにゃあええのに、逢えんとさびしい」
と呟いたことから、チヌは美蝶が誰かに恋をしているのではないか?と考えます。
そんな美蝶の様子が印象的だったせいか、チヌは、その後訪ねた明子の店で久米親分と仲良く談笑している明子の姿を見た時、なぜか胸騒ぎがしたのでした。
声なきものの唄 107話 感想・考察
107話は、センの言葉がとても印象的で心に残る回です。
特に、「セジマがお香を『女の地獄』へつき落とし、お香はセジマの命を奪い、地獄行きのセジマにしまいまでつき合いきった」というセリフは2人の最期を見事に美しく表現していると思いました。
このセリフ1つだけで、瀬島のせいで不幸になってしまったように見えていたサヨリの人生が、満ち足りたものだったかのように感じられるのが不思議です。

また、サヨリの起こした事件が原因でチヌが肩身の狭い思いをするような展開にならず、安心しました。安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。

次回ネタバレはこちら
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