今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」105話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 105話 あらすじ
前話ネタバレはこちら
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しかも、失意のうちに戻った故郷で彼を待っていたのは、誰にも世話をされずに飢えて亡くなった善助のあまりに無惨な遺体でした。
声なきものの唄 105話 ネタバレ
4人の同輩に囲まれて暴力を振るわれていた瀬島を助けてくれたのは、上客らしく貫禄のある中年の男性でした。男性は瀬島観世と名乗り、自分の部屋付きとして彼を指名します。
おかげでいじめられることがなくなった瀬島は、気配りが上手で骨身を惜しまないという持ち前の才能を活かし、客からお駄賃をもらうなどして小銭を稼ぐようになりました。善助の世話を頼んだスエ宛てに定期的にお金を送るためです。
また、母親に似て異性を惹きつける容姿にますます磨きがかかってきた瀬島は、女中らから可愛がられるだけでなく、ある女性客から好意を寄せられるようになります。その客は以前何色の帯を合わせるか迷っていた際に、たまたまその場に出会した瀬島から
「濃紅んほうがええですよ。お顔がパッと映えよる」
とさりげなくアドバイスされたのがきっかけで彼のことが気に入ってしまったらしい、まだ若い娘でした。
彼女は加須屋という生糸屋のお嬢様で、名前を篠田照といいました。照はアドバイスのお礼と称して瀬島に贈り物を渡すなど、明らかに恋慕の情を抱いている様子でした。
しかし瀬島のほうは、もらった風呂敷や手ぬぐいを迷わず質屋でお金に換えてしまったり、女中たちに照のことで意味深長な視線を向けられても無言であったりと、彼女に対して特別な思い入れは一切ないように見受けられます。
ところがある日、瀬島ではない相手と結婚することが決まって思い詰めたらしい照から、無理矢理口付けられてしまうという騒動が起きます。
しかも、驚いた瀬島が思わず照を突き放してしまったため、その態度にショックを受けた彼女はなんと
「ひでえことされた」
と泣きながら母親に訴えたのです。
幸い目撃者が複数いたため、瀬島が潔白であることはすぐに証明されました。ところが庄野屋の主人と番頭は、彼を解雇すると決めてしまいます。
たとえ当人に非がなくとも、瀬島はこれからも「女で問題を起こす」と考えられ、「厄介の種になる」と判断されたからでした。
青天の霹靂に呆然とする瀬島は、キサと顔を合わせるのが嫌でずっと避けていた故郷へ仕方なく帰ることにしました。しかし実に3年ぶりとなる我が家で、瀬島はさらなる絶望の淵へと叩き落されてしまいます。
毎月きちんと送金してスエにお願いしていたのだから大丈夫だろうと思っていた善助が、すでに息を引き取っていたのです。
しかもその亡き骸はすっかり痩せ衰えて、まるで木乃伊のようでした。
さらに褥瘡もひどく、排泄物すら処理されていない状態で、長期間看護されていなかったのだと悟った瀬島は、奉公先で働くのが楽しくて3年も父親を放ったらかしにしてしまったことをひどく後悔したのでした。
声なきものの唄 105話 感想・考察
105話では、瀬島が女衒となったきっかけをもたらしたであろう人物が登場しました。自身が何か悪いことをしたわけではないにもかかわらず奉公先をクビになり、さらに父親が非業の死を遂げ、行き場をなくしてしまった瀬島が彼を頼る・・・という展開になるのでしょうか。
ただ瀬島が女衒になる前に、まずはキサと一悶着ありそうです。ただでさえ精神的にボロボロであろう瀬島が、母親の言動によってまた傷付けられるのではないかと心配ですね。
安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。
次回ネタバレはこちら
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